まずは性病について知ることが大切
ひと口に性病といってもいろんな種類があるんだから
クラミジア感染症
概要
クラミジア感染症は10～20代前半の女性を中心に多い性感染症です。
男女ともに自覚症状が少ない性感染症で、妊婦検診で検査して初めて気付いたという例もあり、気付かないうちにパートナーに感染させてしまうリスクもあります。
クラミジアに感染している場合、HIVへの感染が3～5倍高まると言われています。
感染経路
粘膜同士の接触、精液、膣分泌物が感染経路になります。
性器同士の接触だけではなく、オーラルセックスにより咽頭へも感染することがあります。
咽頭へクラミジアが感染している場合、普通の口づけだけで感染することはありませんが、ディープキスなどの粘膜の接触で感染することもあります。
産道を通じて子供にも感染することがある性感染症のため、妊婦検診では検査を行います。
症状
おりものの増加、不正出血、下腹部の痛み、性行為時の痛みが見られます。
咽頭への感染が見られる場合、喉の痛みや痰が増えることもありますが症状がない場合もあります。
感染後、数週間で発症しますが約80％の人が自覚症状がないと言われています。
淋病
概要
女性の場合、子宮頚管炎を起こします。
淋菌は身体の奥へ行く習性があるため、適切な治療を受けずに放置したりすると卵管炎や骨盤髄膜炎を発症することもあります。
不妊や子宮外妊娠、流産、早産の原因となることもあります。
淋病に感染した人の20～30％の人はクラミジア感染症を同時感染していると言われています。
淋病に感染している場合、HIVへの感染が3～5倍高まると言われています。
感染経路
粘膜同士の接触、精液、膣分泌物が感染経路になります。
淋病性尿道炎の男性の感染経路は、60％が風俗によるオーラルセックスによるものというデータがあります。
症状
白色または黄緑色のおりもの、性器からの異臭、不正出血、排尿痛、頻尿、下腹部の痛みなどが見られます。
カンジダ症
概要
カンジダ属の真菌により発症します。
もともと人体の中に存在している菌と言われており、体力の低下や体調不良などにより発症します。
発症した際に、性行為を行うことでカンジダ症を悪化させたりパートナーに感染させてしまうことがあります。
感染経路
誰もが保菌している真菌ですので主な感染経路は自己感染になります。
免疫力が低下した際の性行為によりパートナーへ感染することもありますが、その確率はおよそ10～15％と言われています。
性行為時に入浴して身体をよく洗い、清潔にすることで感染する確率が低下します。
産道を通じて子供にも感染することがある性感染症のため、妊婦検診では検査を行います。
症状
膣と外陰部で同時に症状が現れることが多いです。
膣や外陰部の痒みや痛み、ヨーグルト状のおりもの、性器の炎症や異臭、排尿障害、性行為時の痛みなどが見られます。
免疫が低下してしまっている時、肥満や糖尿病、妊娠時、ステロイド剤や抗生物質の濫用をしている時などの膣内の自浄作用が低下している時に発症する場合が多いようです。
口腔内へ感染した場合は口腔内の皮が剥ける、稀に白斑が見られます。
B型肝炎
概要
肝炎を発症すると正常な肝臓の細胞も攻撃され、破壊されて肝臓の働きが弱まります。
症状が進行すると、保菌者および感染症の媒体としてB型肝炎ウイルスのキャリア化に進んでしまう場合があります。
B型肝炎の慢性化、肝臓がんの発症リスクの増加の可能性があります。
急性B型肝炎として数か月の治療で治癒することもあります。
感染経路
オーラルセックスを含む性行為、母子感染、輸血・注射器の使いまわしなどで感染します。
日本では母子感染によりB型肝炎を発症する人が最も多いです。
母体がB型肝炎ウイルスに感染していると、胎児への感染は100％です。
症状
初期は全身の倦怠感、発熱、頭痛などといった風邪と同じような症状が見られます。
次の段階として、吐き気や下痢、食欲不振などの消化器系に対して症状が見られます。
重症化してくると、黄疸や褐色の尿が出てくるようになります。
初期症状から重症化に至るまで、肝臓が腫れることがあります。その場合、背中右側に鈍痛が感じやすくなります。
ヘルペス
概要
ヘルペスは皮膚または粘膜に小さな水ぶくれが集まることを指します。
人間に感染するヘルペスウイルスは8種類存在します。
ヘルペスは一度寛解した状態になっても、神経節の中に潜伏して生き延びます。
そのため、免疫力が低下した際などに神経節からウイルスが出てきてヘルペスを再発させます。
性器ヘルペスに感染しているとHIVや梅毒、その他の性病に罹りやすくなります。
現代の医療では一度罹ると抑制はできてもウイルス自体を死滅させることはできません。
感染経路
性器ヘルペスと口唇ヘルペスはオーラルセックス含む性行為でも感染します。
オーラルセックスの場合、喉の粘膜にヘルペスが発症しやすくなります。
症状
4～7日の潜伏期間後、感染箇所に痛みや痒みが出てきます。
重症化すると、小さな水ぶくれや発疹が多数現れ、ただれや激しい痛み、高熱やリンパ腺の腫れが見られます。
2～3週間でかさぶたになり、自然治癒もします。
HIV（エイズ）
概要
HIVの正式名称はヒト免疫不全ウイルスです。
エイズの正式名称は後天性免疫不全症候群です。
HIVは人間の免疫力を低下させてしまうウイルスです。
HIVに感染した際、適切な治療をせずに放置してしまうと段々と身体の免疫力が低下させていきます。
5～10年ほどで、健康なときであれば身体に影響を及ぼさない菌やウイルスなどでも合併症を発生させたりします。
エイズ指標疾患として23種類の疾患が指定されていますが、HIV患者がそのうち一つでも発症したらその時初めて「エイズ患者」となります。
感染経路
感染経路は性交渉、母子、血液媒介になります。
HIVは人間の体液で感染しますので、HIV患者の精液や膣分泌物、血液と粘膜や傷口が触れることで感染します。しかし、唾液に含まれるHIVは微量であり、ディープキスなどでも感染しないとされています。
母子感染の場合は胎内で育っていく時、産道を通る時、母乳での授乳の時に感染します。
傷口や粘膜からHIVが侵入し、リンパ腺に向かい増殖をしますが、感染力の弱いウイルスでなので増殖を失敗することが多いようです。
症状
感染から2～6週間で風邪に似たような症状が出る場合があります。これを急性HIV感染症といいます。
発熱、リンパ腺の腫れ、咽頭炎、発疹、全身の倦怠感が見られることが多いようです。
筋肉痛や関節痛、嘔吐、発熱などの症状が見られる人もいるそうです。
それ以降はHIVが一度は減退し、体内のHIVの量は一定になり5～10年の間、潜伏します。
この潜伏期間は一見健康そうですが体内ではHIVと免疫が戦っているので免疫力が低下し、風邪をひきやすくなったり普段なら影響のない菌やウイルスにより病気を発症したりします。
ケジラミ
概要
吸血性の昆虫であり、感染すると激しい痒みを伴います。
ケジラミは宿主を離れ場合の寿命は48時間以内、1日10cm程度しか移動できません。
体長1～2mmなので肉眼で確認することもできます。
陰毛の根元に1mm程度の卵を産み付けます。
感染した場合は下着にケジラミの糞や吸血の際の出血が付着している場合もあります。
感染経路
性行為の際に接触感染することが最も多いですが、母子間、毛布やタオル、脱衣所のかごなどにより間接的に感染することもあります。
性行為の際、陰毛から陰毛に渡ることで感染します。
そのため、コンドームなどの避妊具で感染を防ぐことはできません。
完全に感染を予防するためには、感染した際に適切な治療を行い、完全に消滅するまで性行為を避け、毛布やタオルなどの使いまわしを避ける必要があります。
頭髪には感染しませんが、それ以外の髭や眉毛といった体毛に感染する可能性があります。
症状
夜寝られないほどの激しい痒みが現れます。
その痒みはかきむしるほどと言われています。
トリコモナス症
概要
肉眼で確認できないほど小さな原虫が膣内に侵入し、膣や子宮頚管の炎症を引き起こします。
乾燥には非常に弱く、水中では長時間感染性があります。
トリコモナスに感染すると、膣内の環境を変えてしまい自浄作用が低下します。
よって様々な細菌を増殖させやすくなってしまい、他の症状が出てきてしまったり合併症が現れる可能性もあります。
細菌性膣炎を併発させることも多いです。
感染経路
性行為での感染が大多数ですが、下着やタオル、便器、浴槽などで感染することもあります。そのため性交経験のない女性や女児に感染する可能性もあります。
稀に、母体の尿道に感染があることで、分娩時に産道から新生児に感染することがあります。
症状
症状として、泡状で悪臭の強い黄色いおりもの、外陰部または膣の激しい痒みや痛みが見られます。
膣壁に発赤、子宮頚部に点状出血斑が見られる場合もあります。
潜伏期間は3週間ほどです。
ただし自覚症状がない方が20～50％ほどとされており、適切な治療ができないことで炎症が卵管まで進んでしまう可能性もあります。
その場合は不妊症、流産、早産を招く可能性もあります。
梅毒
概要
梅毒トレポネーマという細菌に感染することで引き起こされます。
この菌は人体または兎の睾丸でしか増殖できないとされています。
10数年前は不治の病とされていましたが、現在は早期治療をすることで完治できます。
1929年に抗生物質ペニシリンが発見されたことにより、現在は梅毒が重篤に進行してしまう被害が抑えられています。
感染から重篤な第四期の症状に達するまで10年ほどかかりますが、早期発見、早期治療が必要な病気です。
感染経路
低温状態や乾燥に非常に弱い菌で、オーラルセックス含む性行為または母子間で感染します。
皮膚や粘膜にある、見えないくらいの小さな傷などから侵入してしまいます。
1回の性行為で感染する確率は15～30％とされており、感染力が非常に強いです。
妊娠中に胎児に梅毒が感染する可能性もあり、死産または先天性梅毒を患って産まれることがあります。
症状
症状は男女ともに同じで、症状の変化は四期に分かれます。
第一期は感染箇所の皮膚や粘膜に痛みのないしこりができて、段々と硬くなって盛り上がってきます。そして下半身のリンパ腺の腫れが見られ、3週間ほどで症状が消失します。
第二期は梅毒が血液に侵入し、全身にまわります。身体の中心線にあたる部分にピンク色の痣が見られます。小豆大の赤褐色の発疹や脱毛症状が現れ、3か月から3年ほどで症状が消失します。
第三期は筋肉や骨などにゴム状の大きな腫瘍が発生します。
第四期では多数の内臓に腫瘍が発生したり、神経を侵され麻痺性痴呆が見られたり、脊髄瘻を起こし死亡するケースがあります。
現代医学において、第三期～第四期の状態まで達することはほとんど見られません。
尖圭コンジローマ
概要
ヒトパピローマウイルスの感染によって引き起こされます。
多くの場合、ウイルスに感染しても免疫の力で尖圭コンジローマが発病しにくく、自覚症状が出ない場合があります。
イボが見られない場合、感染していても8か月～2年で自然治癒することが多いです。
イボが出ている場合は皮膚にウイルスが定着してしまっているので自然治癒は困難です。
感染経路
性行為にて感染します。
コンドームでの感染予防ができますが、性器や肛門周辺などが感染箇所の場合、完全に予防は難しくなります。
症状
潜伏期間3週間から8か月程度を経てからイボが現れます。
性器や肛門周辺にイボができ、痛みや痒みがある場合もありますがそれらがないこともあります。
イボは1～3mm程度で白やピンク、茶褐色、黒など様々な色が見られます。
形は乳頭状であったり、鶏のとさか状、カリフラワー状など不規則な形状が多いです。
女性の場合、悪臭を伴うおりものの増加が見られます。
また、イボが腐敗して悪臭を伴う場合もあります。
これが全てではないんだよ
症状の出方、感じ方も個人差があるから
自己判断でなくしっかりと検査をしなくちゃね
